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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
「御冗談でしょう……」
「それに七兵衛、お前は、年代記に載っている火事を心得ているのみならず、これから焼けようという火事まで知っているのか」
「へへへへ……そこでございますよ。その通り、七兵衛に限って、これから起ろうとする火事まで、ちゃあんと心得ているのみならず、その火元まで突留めて来てあるんでございます」
「ははあ、まだ焼けない火事の火元まで、お前は知っているんだな」
「よく存じております」
「そりゃあ、どこだい。知っているなら人助けのために、江戸中へ先触れをして歩いたらどんなものだ」
「おっしゃる通り江戸中へ、その先触れをして歩くつもりでございますが、その封切に、こうして殿様のところへ上りました」
七兵衛が、どこまでも真面だものですから、主膳も、いよいよ笑止がって、
「そうして、その火元というのはどこなのだ」
「ええ、それは芝の三田の四国町の薩摩屋敷なんでございます」
「ははあ……」
「あすこが、どうしても、近いうちに起る江戸中焼払いの火元になりそうなんでございます」
「ふーん。そうして、その放ける奴は誰だい。焼けない先の火事がわかるくらいなら、その放け火をやる奴も、あらかじめわかっていそうなものだ」