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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

ます。そうして、たのまれた仕事を果すと、その荷物をいちいちまた馬に積みのせて、それから前途へ向って出かけるのであります。

ある人が、そのおっくうな手数を見て、与八さん、ちょっとの間だから、馬に荷物をつけて置いておやりなすったらどうだい、いちいち積んだり、卸したり、大変な事じゃねえか……というと、与八は答えて、馬にも無駄骨を折らせねえように……と言います。そこが馬鹿の有難味だといって、みんなが笑いました。

しかし、こういうような与八の無駄骨を見て、笑う者ばかりはありません。ある時、御岳道者が、この与八のおっくうな積みおろしを見て感心して、

「ちょうど、丸山教の御開山様のようだ」

と言いました。

丸山教の御開山様というのは、武州橘樹郡登戸の農、清宮米吉のことであります。

この平民宗教の開祖は、馬をひっぱって歩きながら、途中で御祓いをたのまれると、これと同じように、いちいち荷物を積み卸しの二重の手間をいとわず、馬をいたわって、しかして後に御祓いにかかったものであります。

この人は、また言う、

「おれは朝暗いうちから江戸へ馬をひいて通ったが、ただの一ぺんでも馬に乗ったことはないよ」