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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

「では、わたしの方から、尋ねて行ってみようか知ら」

こんな、しんみりした会話のみで、外で聞いても、内で聞いても、聞き苦しいところは少しもない。それだけで、湯殿の中で二人が、水入らずで、流しているのか、流されているのか、更にわからない。

二十一

ここで話題にのぼったのはお松のことで、そのお松は、ちょうどその日のその時分は、青梅の町はずれを、武蔵野の広い原へ向けて馬を歩ませておりました。

お松のやや遠道をする時は、大抵は馬に乗るのが常で、お松が馬に乗ると、早くもムク犬がその馬側にかしずくのも一つの例であります。

今日もその通りで、青梅を出でて、武蔵野のはじまるところを、新町というのへ馬を歩ませました。

青梅という町は、秩父連峰と、武蔵野の原との分岐点であります。秩父連峰を一つの長城と見れば、青梅の宿がその大手の関門でありましょう。青梅を出でてはじめて、本州第一の平原、武蔵野を見る。単に武蔵野とはいうが、関八州の平野は、武蔵野の延長に過ぎません。

それと同時に、足一歩、青梅の宿に入れば、身は全く武蔵アルプスの尾根に包まれて、道は全く奥多摩渓谷の薬研の中を走ることになっている。