輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

その日、お松の帰りは夜になってしまいました。

「与八さん、今日は松茸で夕飯を食べようじゃありませんか」

乳母は子供たちを寝かしつけているところですから、お松は松茸を料理して、与八と二人だけで夕飯を食べました。

「ねえ、与八さん、もう、あたし、あなたの親御さんたちをたずねるのを、止めようかしらと思ってよ」

「そうですか」

「尋ねないでいた方がよかあないかしら、と思いつきました」

「それもそうかも知れませんね」

と与八は、どうでもいいような返事をしましたけれど、心のうちは、決してそうでないことをお松がよく知っています。自分の両親の、せめてその一方をだけでも、与八は知って置きたいという常々の願望を、口には出さないけれど、その折々にお松が察しているものですから、お松から勧めて、その捨てられたという場所へ地蔵様を立てさせたり、それを最初に見つけたという人の縁故をたどったりして、何がな与八の本心のよろこびを迎えようと力めているくらいですから、お松の方から改めて、こんなことを言い出すのは、自分としても心持よくないし、与八をもかなり失望させるに相違ないとは思いながら、何か思いさわる事あればこそ、こうも言い出してみたのでありましょう。