輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

想像して、これを是認せざる者はない。是認して、戦慄せざるものはない。

さしもの伊太夫も、狂気のようになって、火という火のまわりを飛び廻り、人という人をつかまえては、人間の安否をたずねている。それに和する人の声に、いずれも絶望の色の漂わぬというものはない。

そうかといって、この余燼をどうするのだ。余燼とはいえ、寄りつけたものではない。手のつけようも、足の入れようもあるものではない。よし、手のつけようと、足の入れようがあったにしてみたところで、かりに、その四個の生命が、この猛火の下に埋もれているとしてみて、それを、壁と、土と、木と、釘との焼屑と、どうして見分ける。

「飛んでもねえことだ、お気の毒なことだ、四人が四人、一人も助からねえとは……」

さればこそ、この険悪と、憂色とが、すべての人を覆うている。この時、一方に遥かに歓声が上って、

「お嬢様がお帰りになりました、小坊主の弁信さんと一緒に……」

人をかき分けた伊太夫は、お銀様を抱いて、火のようなうれし涙を見せました。

しかし、お銀様はわりあいに冷淡で、そうして少しく臆病であっただけです。

弁信が悄々として、それにつづいて来たけれど、伊太夫は、それを叱ることも、憐れむことも、なすいとまがなく、