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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

「いや、この分では大した降りもないようだぞ、明るくなっている、やむかも知れない。やむとすれば、この間に出立しようではないか。今から三人で押し出せば、少々遅着はするが飛騨の高山までは大丈夫。どうだ、宇津木、出かける気はないかい、多少の雪を冒しても、出立する気はないか」

「そうさなあ」

兵馬も、ちょっと、返答に困りました。それは今日は籠城のつもりでいたから、天気に望みがあり、好きでも嫌いでも、こうなった退引ならぬ同行者がある以上、ここに逗留をしていなければならぬ理窟はない、といって、この二人の亡者と共に、雲の如く、煙の如く、人間の如く、幽霊の如く、出没進出を共にする気にもなれない。

「出かけよう、出かけよう、こうしていたって仕方がない。さて出かけるとすれば、いったいどっちへ行くのだ」

彼等は、出かけることが先で、その目的があとになる。行きつきばったりとはいうけれど、その行きつきが、臨時で、無方針になっている。兵馬のは、とにかく、方針が定まっているが、彼等は出没自在になっている。

だからこの場の風向きで、兵馬が飛騨の高山を主張すれば、むろん彼等もそれに同ずるだろうし、ことに仏頂寺の故郷だという越中方面に爪先が向けば、彼等は喜ぶだろう。