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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

が、今になると、悔いても及ばぬ感じを起させました。

火事の混乱まぎれに、あの小坊主を冷遇して、出て行かせてしまったことは重大なる失策だ、とはじめて気がついたようです。ナゼならば、あの小坊主のいる間は、とにかく、お銀様は慰められていたようです。慰められないまでも、お伽として座右へ置いても、癇癪の種にはならなかったようです。そうしてあの小坊主も、あの娘に向って、思うことはずばずばおしゃべりをしていたようです。

あの小坊主去った後は、お銀様の傍へ寄りつくものがありません。

たまに、寄りつくものがあれば、有無をいわせず、尾羽をむしり取られてしまいます。近づく者に多少の惨虐を加えて、若干の負傷をせしめずしては帰すことのないのが、お銀様のこの頃です。

雇人たちは、戦々兢々として、椿の下の御殿へ行くことを怖れます――けれども、主命によって行かねばならない時は負傷を覚悟して、その被害をなるべく少なくするの用意を整えて行きます。

その負傷の軽重は如何――つまり、お銀様は、何者をも、自分と同じような不具者にしてみなければ納まらないのかも知れません。満足に近い人間を見ると、そのいずれかに、暴虐を加えて、不具の程度にしてみて、やっと安心するところに、執念があるようです。