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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

老夫婦はたずねない方がよかろ。だが、御本堂へはひとつ、その昔、一夜の宿をお貸し下すったお礼を述べずばなるまい。

こんなふうに考えて、本堂の方へと進んで行くと、閑寂な、人影とては一つも見えないと思っていた境内のお堂の後ろから、ひとり、ふらふらと歩いて来る人の姿をみとめました。

その人は女であって、お高祖頭巾をかぶっているということも一目でわかるが、お高祖頭巾をかぶっているという婦人は、世間にいくらもあることですから、お高祖頭巾に向って特別注意を払ったのではありません。やはり、心願あっての婦人が、お参りに来たものだろうと、深くは気にもとめず、米友は、本堂の前に手を合わせて、拝礼の真似事をする。神仏を敬すべしということは、出立の最初に当って、道庵先生から教訓されていることではあるし、その礼拝の曲折も、道中、熟練せしめられている。

米友が拝礼している間に、お高祖頭巾の婦人は、御本堂のまわりを一廻りして、地蔵堂の方へ行くらしい。

自然、そのあとを追うように、米友が地蔵堂の以前の自分のねぐらをおとずれようとすると、

「もし」

と呼びとめたのはお高祖頭巾の婦人です。