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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

お松はそれを聞いて、ずいぶんマセきった言い分だと思いました。だが、そのマセきった言い分も、当人は無邪気で、家庭の口吻がさせるわざだと考えないわけにはゆきません。家庭の口吻は、つまり生活の切迫であります――お松は箒の手を休めて、それを聞いていると、

「おらの家じゃ、貧乏のくせに子供ばかり出来やがって、食わせることができねえから、こんど出来たら間曳いちまうと言ってたよ」

「間曳くというのは何だろう」

「間曳くというのは、赤ん坊が生れると一緒に、つぶしてしまうことだとさ」

「つぶす?」

「うむ」

「つぶすというのは、どうするんだろうねえ」

「殺しちまうんだよ、生れると一緒に、息のできねえようにしちまってさ」

「ずいぶん、悪いなあ、生きて生れたのを殺しちゃうなんて」

「だって、仕方がねえさ、生かして置いたって、食わして行けなけりゃあ、人間は死ぬだろう、生れたものに食べさせねえで殺すより、痛いも痒いも知らねえうちに、片づけてしまった方が、慈悲なんだとさ」

「かわいそうだなあ」

「かわいそうだって仕方がねえや。おいらなんぞも、家が貧乏なんだから、お母あが、間曳いてしまうつもりでいたのだが、おいらが生れるとニコニコと笑ったから、つい間曳く気になれなかったんだとさ」