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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

それは一個の怪物――頭の毛の赤い、素敵に大きな眼鏡をかけた男性の怪物が、黒灰浦の真中の海へ深く潜り込んだかと思うと、暫くあって浮き上り、浮き上ると共に、あっぷあっぷと息をついて、浮袋にだきついて、きょろきょろと見廻し、巌が笑うような笑いを一つしてから、また浮袋を離れて、海の深いところへ没入したかと思うと、暫くして浮き上り、仰山な顔をして、自分がいま沈み入ったところの海の中を見入りながら、あわただしく息をきって、後生大事に浮袋にしがみつき、そうして暫くしてまた勃然として、海の中に没入して姿を見せないでいるかと思うと、せり出しのように浮き上って来て、仰山な眼をして、もぐり込んだ海の中を見込み、息と水を切り、後生大事に浮袋にしがみついている。

その有様が、おのずから珍無類の滑稽になっているのであります。

いったい、滑稽というものは、企んでそういう仕草をして、人を笑わせんがために存在することもあれば、当人は大まじめ――むしろ命がけの真剣さを以てやっていることでも、はたで見ると、どうしても滑稽とよりほかは見られない悲惨なる現象もある。

また当人も滑稽と思わず、それを滑稽として見るべき看衆の何者もない時にも、挙動そのものが、滑稽になりきっていることもある。