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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

浴室の鎧窓から、湯煙の立ちのぼるのも面白い。湯滝の音が、とうとうと鳴るのも歌になると思いました。

そこでお雪が暫くの間、うっとりとしました。我を忘るる時は、歌を思う時でしょう。

さて、自分は歌わんとしてまだ歌をなさないが、清澄の茂太郎ならば、早速何か歌うだろう。何だか耳もとで茂太郎の声がするようでならぬ。

その時、どっと下の方で笑い崩るる声がしました。ああ、そうそう、今日は珍しく鐙小屋の神主さんが来られたそうで、廊下で先ごろ北原さんから案内を受けたが、行く気にならないものだから御無沙汰をしてしまった。

あの晴れ晴れした、賑やかな神主さんが、座持で話をしていれば、一座が陽気になるのも無理はない。ああして、さも愉快そうに笑い崩るる声。下の明るい賑やかさ。

それを聞いて、いつもの自分ならば、駈けつけて行っても、仲間になりたいほどのものを、なんだか行きたい気が起らないのみならず、人々の笑い崩るるのが、どうやら呪わしいような心持になって行く自分はどうしたものだろう。気が進まない。

お雪は、晴れ晴れしい神主のことから、かえって暗い気持を、自分の胸に感得しました。