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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

「あ、痛えな」

若い船頭が、仰山な叫び方をすると、

「いたけりゃ辛抱していろよ、誰も巳之さんをおん出す人はねえだから」

「それじゃ、おっかの舟貸すか」

「乗れねえに、持ち上げろよ」

「ナニョー、しんだ」

「うるせえな、このオベラカシ」

白雲の耳には、何ともわからないざれごとを言い合って、舟は左右にわかれました。

十五

大船津の浜へのぼると、そこで田山白雲は、物珍しい一行を見てしまいました。

数十人の団体が、手に手に小旗を持って船を待っている。その小旗を見ると、どれにも、これにも、「十五文」と記してあるのがおかしい。

団体の中に、一人、頭へ置手拭をして、突袖ですましこんでいる若いのが、これが一行の大将株と覚しく、これの襟にさしてあった旗だけが少し違い、

「十五文、橋庵先生」

としるしてあります。そうして、その周囲を取りまいて、扇であおいでいるのが、見る人が見れば見たような面と思うも道理、これぞ江戸の下谷の長者町で、道庵先生の両腕とたのまれたデモ倉と、プロ亀でありました。

さては読めた。倉と、亀とが、道庵先生の不在に乗じて裏切りをし、ここに橋庵先生というのをもり立てて、その向うを張らせ、道庵の十八文よりは三文だけ安くして、つまり、それだけ大衆的であるとの看板の下に、あっぱれ一謀反を企てたものと見えます。