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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

「お雪さん、あなた、このごろどうかなさいましたか、ちっとも姿を見せないじゃありませんか」

「いいえ、どうも致しません」

「今、皆さんで、あなた方の噂をしていたところです、ちと、お話しなさいましな」

「有難うございます」

「あまり遠慮をなさってはいけません」

「遠慮なんて、しやしませんけれど」

「では、少しお話しなさい」

それでも、お雪は入ろうとしないで、例の薄暗いところに立ち姿の半身で、あるが如く、なきが如くに、しおらしいものであります。

ここでは、すすめられても遠慮をしているくせに、一方では、頼まれないのに、部屋部屋の火の心配までして、ほとんど女中代りの世話まで好んでして歩くものらしい。

宇津木兵馬も、その時、そう思いました。自分の部屋も、自分が立つまでには、そんなでもなかったが、そのあとで、この娘さんがしらべてみた時分には、炬燵の火が消えてしまっていたのかしら。そこまで気を利かせてくれているこの娘さんの、相変らず行届いた親切ぶりが、宿の人でないだけに、感謝の至りと思わずにはおられません。

しかし、この際、こうして入りもせず、去りもしないお雪の遠慮が、一座の気合を殺ぐことはかなり夥しいものですが、村田がそのバツを合わせるように、兵馬に向って話をつづけて言いました、