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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

自分の家で、自分が勝手に手足をのばすべきことを、支えん様はないと観念しているからでしょう。そうすると、第三段になって女王の仰せには、

「よければ、あの奥の間へ泊めて頂戴な」

「あの奥の間――」

と言って、米友が鉛玉を飲まされたように、眼をまるくせざるを得ませんでした。

ここに至って、今まで忘れていたように、奥の間のことまでがハッキリと米友の頭に再びうつって来ました。

三十二

「いけないの? いけなければ頼みません」

とお銀様がキッパリ言いました。

「うむ、そいつは、よした方がよかろう」

と、ここで米友が、はじめて内容のある言葉を発しました。

「じゃ、よしましょう」

とお銀様が、立ちどころに相応じました。

「よした方がいい」

米友も頑として下りませんでした。

「よします、お前さんが、いけないと言うものを強いてお頼みはしません」

「うむ」

「じゃ、米友さん、ここへ泊めて頂戴」

「うむ」

「いいの?」

「うむ」

「ここならいいの?」

「うむ」

「奥の間ではいけないけれども、ここへなら泊めて下さるの?」

「うむ」

「まあ、有難う、では、ここへ泊めていただくことにして……」

お銀様は、覆面の中から米友の面を、まともに見つめました。