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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

このたびは、何かこんがらかった想像が、それからそれと思案に余るものがあると見えて、夜舟を漕ぐような懈怠が無いのみならず、そのもてあます思案がいよいよ重くなると共に、頭も、眼も、相当に冴えてくるのです。ここでとうとう鶏が鳴いてしまいました。

鶏が鳴いたといっても、必ずしも夜が明けたという意味にはならない。一鳥鳴いて山更に幽なりということもあるのだから、時と人とによっては、これから日の出の朝までをはじめて夜の領分として、この辺から徐ろに枕につこうというのも多いのです。今の米友はそのいずれにも頓着はないのですが、胆吹の全山は、まだ鶏の一声によって呼び醒されてはいないのです。

思案に耽る米友は、無意識に火箸の先で炉辺の軽い薪を取りくべながら、重い頭を垂らしていたが、ふと、

「ムニャ、ムニャ、ムニャ」

という声に驚かされて、その傍えを見やると、道庵先生が、縦の蒲団を横にして寝ているのです。

「ムニャ、ムニャ、ムニャ」というのは、つまり右の道庵先生の、これぞ熟睡中に無意識に口を動かしたところの、うわごとのようなものでありました。

そこで、米友は、また先生のために、夜具の片端を坐りながらちょっと引延ばして、なるべくその足の方の部分が露出しないようにと気を配ってやりながら、今、ムニャ、ムニャ、ムニャという発音をしたところの