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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁
「だから、言わねえこっちゃねえ」
この時は、もう烈しくゆすぶることをやめて、寝る子を母があやなすように、米友のあしらい方の手加減が変りました。
事実、それは米友の糠喜びではありませんでした。お雪ちゃんは刻々に、著しく元気を恢復して行くことがありありとわかります。米友はまた、片手をのばして燈心を掻き立てるだけの余裕を作ってみると、その増し加えられた火花が、一層お雪ちゃんの気分を引立てたものに見せましたから、もうこっちのもの、という考えがいよいよ確実になってみると、米友としてもいよいよ米友度胸が据ったのです。
とはいえ、稽古半ばで落された武術の修行者が、さめると共に元気を回復して、すぐさま相手に一戦を挑みかけるというような現金なことはなく、まだ決して自分の意志を表白し得るほどの程度にも達していないのですが、もうこっちのもの、という信念を米友に持たせることに於ては牢乎として動かすべからざるものがあったのですから、米友の取扱いもいっそう和気もあり、やみくもにゆすぶることには及ばない。ゆすぶってはいけないのだ、安静に寝かして置いた方がいい、もともと外部に創傷のある出来ごとではないのだし、長いあいだ病気で弱っていたという身体でもないのですから、安静にして置いて、且つ冷えないようにしてやりさえすればそれが何よりなのだ