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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁
こんなことを謡の文句で呼びかけるものだから、どうしても舟の連中の耳障りにならないわけにはゆきません。しかし、誰も進んで、出ないとも出るとも言わないで、舟の装いに忙がしがっているものですから、右のまがいものの法界坊はしつっこく、
「あらおもしろの八景や、まず三井寺の鐘の声、石山寺の秋の月、瀬田唐崎の夕景色、さては花よりおぼろなる、唐崎浜の松をはじめ、凡そ八景の名所名所の隅々まで、案内はもとより故事来歴までも、一切心得て候、あわれ福徳円満諸願成就の旦那衆、一杯の般若湯と、五十文の鳥目をたびて給べ候え、御案内を致そうずるにて候」
それを聞いて、たまり兼ねた若い者の庄公が、
「何だい、何だい、何をおめえさん、そこでブツブツ言ってるんだい」
「あわれ一杯の般若湯と、五十文が鳥目とをたびて給べ候え、八景の名所名所、洩れなく御案内を致そうずるにて候」
「何か七むずかしいことを言っているが、何かい、酒を一杯飲ませてくれて、五十貰えば八景の名所案内をしてくれるとでもいうのかい」
「さん候、何れもの旦那衆にさように勧進を申し上げて御用をつとめまいらせ候、今法界坊とは、やつがれのことに御座あり候」