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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

道庵は感心の余り、ひとつ賞めてやりたいものだという気になりました。もう幕が下りてから賞めたところで仕方がない、まあ、この次の幕に近江源氏があるらしいから、一番江戸ッ児張りにうんと賞め言葉を投げつけてやろうと意気込んでいたが、幕間がかなり長い上に、道庵もちょっと小便を催してきましたから、座席のところを庄公に頼んで置いて、人波を分けて、便所の方へと出かけて行ったのですが――その帰り途のことです、葭簾張りのスキ間から楽屋が丸見えだもんですから、道庵が覘き込むというと、そこで在郷の役者連が衣裳、かつらの真最中で、それをお師匠番が周旋する、床山がかけ廻る、その光景はかなり物珍しい見物でした。それを見ると道庵先生がムラムラと病気が萌したのは、どうもやむを得ないことです。今まで見物の最中とても、瓢箪に仕込んで来た養老の美酒をチビリチビリとやっていたのですから、かなり廻っているところへ、こうして物珍しい楽屋裏を見せつけられたのでは腹の虫がおさまりっこはないのです。

そこで道庵先生が、ちょっと人混みの中へ姿を隠したかと思うと、今坂餅を三蒸籠ばかり出店商人に持たせて、いけしゃあしゃあとして再び楽屋口へ乗込んで来ました。