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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

そこで、こちらは戸惑いをしました。我々を送ってくれるならばその好意を受けて、これに答えなければならぬ。こちらもハンケチを振るとか、テープを投げるとかしなければならない。ところが我々において送らるべき好意の所在を知ることができないから、

「あの人たちは、あれは何です、誰を送るためにああして集まって、笠を振り、さらばさらばをしているんですかな」

田山白雲が、駒井船長に向って問いかけたのは、船長も最初から同じ思いで迷っているところの理由でした。

「分らないです、あの連中は果して誰を送っているのですか、我々を送っているとすれば、我々の中の誰がその人に当るのか」

その上に、改めてまた甲板の上を見渡すと、こちらでたった一人、七兵衛が笠を振っている。

「やあ、七兵衛親爺だ」

と船長も、白雲も、こちらで笠を振る七兵衛の方へ振向くと、船上の一同もそのようにして、それからあらためて陸上の送り手と、送らるる七兵衛とを見比べていると、彼方の人数の真中に囲まれたデップリした頭領らしい男が、最後に笠を取って打振りました。事の光景が、船中一同に呑込めない、追って後刻、七兵衛から説明されたらわかることに相違ないが、それだけでは、いかにも合点がなり難いことに思っていると、早くもマストの頂上に登りつめていた清澄の茂太郎が、高らかに歌い出しました。