輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

と言ったから、電流に打たれたように、それに反応して「キャッ」と叫んだまでです。舞子たちは、それと共に重なり合って動顛したけれど、村正のおじさんは結句おもしろがって、

「何か出たか」

「朝ちゃんがキャッと言いました」

「何か出たな」

「怖い……」

その押問答のうちに、息せき切って、ほとんど命からがらの体で逃げかえって来たのは、いま出て行った朝ちゃんです。

「どうしたの?」

「何が出たの?」

「出たの?」

でも、そこへ来ると、気絶して水を吹きかけなければ正気の取戻せないほどではありませんでした。寄ってたかっていたわると、朝ちゃん、

「ああ、しんど」

「どうしたの」

「あの御簾の間のお座敷に幽霊がおりました」

「幽霊が――」

「あい」

「幽霊が何をしていた」

「御酒を召上って」

「酒を飲んで?」

「はい、九重太夫様を殺したあのお武家の幽霊が、たしかにいたのよ」

「そんなはずはないよ」

「いたわよ、行ってごらんなさい」

「それは行燈の変形だ、枯薄を幽霊と見るようなものだ、では、だれか行って見届けておいで」

村正のおじさんは、改めて一座を見廻したけれども、こうなると誰あって、進み出でようとするものはない。