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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁

青空文庫

ない当の談敵が、眼前に眼をなくしていることに、ふいと気がついたものだから失笑し、たあいなく釈明に落ちてしまったが、また猛然として気焔が盛り返して来て、

「それはまだいい方なのだ、一層下等な奴になると、彼が金銭のために働いている、利禄に目がくらんで盲動しとる――」

またしても目前、盲動と言い、差合いが眼前にあることに今度は気がつかず、躍起となって、近藤のために多々益々弁ずるという次第であります。

三十八

「なるほど、今日の近藤勇と、昨日の近藤勇とを比べて見ることしか知らぬやからは、彼が、さも過分の立身出世でもしたかの如く唇を翻す、将来もまた、彼がこの名聞利得の野心のために――殺人業を請負っているかの如く曲解したがる奴があるが、なるほど、彼は武州府中在の土民で、主人から禄をもらって養われたさむらいという階級の出身でないことは勿論、その表看板の剣術にしてからが、天然理心流の一派の家元といえば武芸流祖録には出ているが、柳生だの、心陰だの、一刀流だのと比べては比較にならぬ田舎剣術、いわばなんらの氏も素姓もないところから、飛入りで、今は徳川直轄の扱い、旗本のいいところ、今日では若年寄の待遇になって、諸侯と同じ威勢で京の天地に風を切っている。