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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁
易にぶっつかって創痍満身のお銀様が、辛くもここまで反省したことは、さすがでありました。難解には難解に相違ない、いま読んで今わかるという本でないことはわかっている、だが、時日を与えれば、自分もこれをわかってみせる――という持久心を取戻したことが、お銀様のさすがでありました。
そこで、お銀様は「周易経伝」の巻を伏せて、その一部四冊だけを別にこっちの経机の上に取って置いてから、次へと書棚の検討をつづけました。
その次に触れたのが「古今集」――これは歯に立つも立たぬもない、自分の家の中庭の花園へ分け入るようなものである。ただ見返しに誌された、このぬしの墨書が、なかなかに見事で、しかも女の手、そうして、どうやら床の間の「花の色は」の筆蹟と似通っていることだけです。
どうも女文字ばかり多いが、ことによるとこの庵の前住者というのが、やっぱり女ではなかったのか、そこへお銀様がふと気を廻してみました。そういうふうに気を廻して見れば見るほど、その気分が全体ににじんで来る。そこへちょうど婆やが別棟からお茶を持って参りました。
「婆や、前にここにいらしった方はどんなお方でした」