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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁
今、お盆をつき出してくれた女の子は、面を見ないから誰それとは言えないが、ここに群がっている丸髷のうちのどれか一つに相違ない。この野郎、昨日今日ここへ雇われたと言いながら、もうそのうちの一人をものにしている、度すべからざる白徒だという面をして、三公と、お盆の餅とを見比べていたが、この野郎はお先へ御免を蒙ってしまって、走餅を一つ抓んであんぐりと自分の口中へほうり込み、
「うめえ、うめえ、走餅ぁうめえ、腹のすいた時にゃ何でもござれだ」
とんちんかんなことを口走り出した。時に関守氏、
「三公、貴様は怪しからん奴だ、餅どころか、人間まで甘く見ている」
「どう致しまして」
「昨日、あの風呂場で拙者の胴巻をちょろまかした上に、それをぬけぬけとまた、お忘れ物だと言っておれの眼の前へ持って来やがった、いけ図々しいにも程のあったものだ、人を食った振舞とはそういうのを言うのだ」
「へ、へ、へ、へ、人を食った覚えなんぞはございません、餅を食っているんでげすよ」
三公は、今となっては決して悪怯れていない。人を食ったのはこっちではない、かえってこの人に臓腑の底まで見破られてしまったから、破れかぶれという気分でもあるようです。