輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁

青空文庫

その八カ所のうちのここは湯本といって、温泉宿が今では十九軒もある。その十九軒のうちの室町屋というのが、この家でありました。

もう少したつと客がドッと多くなるが、今のところは、夏と秋との移り変りであるのと、近国に戦乱があるのと、そんなこんなであまり客はないのです。

「まだ吠えてますなあ」

「あちらでも、こちらでも、吠え立ておるわい、どうしたものじゃろう」

二人の客は湯槽から這い上って、隠居の方は軽石で踵をこすりながら、

「何か、悪い獣が山から出てうせはせんかな、狼か、山犬か、猪かむじなか」

「近頃は、トンと左様な噂も聞きませぬ。なんにしても、こう吠えられては物騒でなりませんな」

二人が犬の吠えるのを頻りに気にしていると、浴室の戸をガタと開いて、一人の女中が面を出し、

「もし、お客様、恐れ入りますが、急にお湯をお上りなすってくださいまし、あの、お調べのお役人が参りましたから」

「ナニ、お調べのお役人が――」

二人は面を見合せて、

「わしらは、別に調べられるような筋はごわせんが……」

湯から上って、もう寝ようとする今時分に事改めて、調べの役人が向うなどとは、今までに例のないことで気味の悪い話です。