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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁

青空文庫

「お玉さん、席が出来ました」

「有難うございます」

お玉は大事そうに三味線を抱えて、草履を克明に脱ぎ並べて、その席へ身を載せて、上の方へお辞儀をして、袋をはずして中から三味線を取り出しにかかる模様が慣れたものであります。

ここにおいて、先にお玉を座敷へ上げようとして席のテレかかったのを不思議に思った若侍たちは、

「ははあ、なるほど」

と感づきました。お客がお玉を聞くには、いつでもこうして聞くのである。楼でお玉を聞かせるには、いつでもこうして聞かせるのである。結局、お玉は縁より上へはあがれぬ身分か。

お玉はおもむろに袋から三味線を取り出しました。黒ずんだ色をした三尺の棹、胴も皮もまた相当に古色を帯びた三味線であります。

帯の間から撥を取り出して音締にかかる、ヒラヒラと撥を扱って音締をして調子を調べる手捌きがまた慣れたものであります。

「撥捌きがあれでまんざら捨てたものではございません、ああして弾き出してから、お客様が面をめあてにお鳥目を投げますると、あの撥で、その鳥目をはっしはっしと受け止めながら、三味をくずさないのが、お杉お玉の売り物なのでございます」

万のは仔細らしく講釈をしましたが、客はそんな講釈を耳に入れず、お玉の方ばかり見ていました。