輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,131 字 · 423 頁

青空文庫

仕出し屋の女中の方では、食われてしまってもこちらの粗忽だから文句のないところへ、米友が手を附けずに返してくれたのだから大へん喜びました。

「気をつけなくっちゃいけねえ、俺らだから手を附けなかったが、ほかの者なら食ってしまうんだ、俺らも実は食ってしまおうかどうしようかといろいろ考えたんだ」

「どうも相済みません」

仕出し屋の女はきまりの悪い面をして、一合の酒と鰻の丼を持って急いで敷居を跨いで外へ出ました。米友は一合の酒と鰻の丼の香ばかりで妙な面をして見送っていたが、表を二三間も歩いたと思われる仕出し屋の女中が、

「あれ――」

ガチャン、ピシーンという音。それによって見ると、女中はその辺で転んで倒れて泥濘の中へ、せっかくの一合の酒も鰻の丼もみんなブチまけてしまったようですから、米友は舌打ちをして、

「だから言わねえことじゃあねえや、そそっかしい女だなあ」

潜り戸から面を出して、雨の降る暗いところで転んだ女中をたしなめようとする途端、

「静かにしろ」

その潜り戸から跳り込んだ二人、小倉の袴に朱鞘に覆面、背恰好とも、忠作の家で金目の葛籠を奪って裏口から悠々と逃げた強盗武士そのままの男であります。