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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠3(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,131 字 · 423 頁
八
「女を奪って逃げた? それは聞捨てならぬこと」
「あの土塀を乗り越えて逃げたとやらだが、まだ遠くへは行くまいと思われる」
「諸君、追蒐けて見給え」
それはやり過ごしてしまって金子六左衛門は、先に立って歩きながら堤作右衛門を顧みて、
「一網打尽にやってしまわねばいかぬわい」
という。堤はそれに答えて、
「いかにも。思いのほか念が入った仕方でござるな」
「不届きなやつらじゃ、誰か大きな頭があって指図をしているのに違いない、中の様子はまるで要塞だ。いざと言えば幕府の兵を引受けて防戦する覚悟でいるから、まず謀叛と見ても差支えない」
「お膝元を怖れぬ振舞じゃ。もし大きな頭があって、その指図とあらば、このままに置くは幕府の威信にかかわる」
六左衛門と作右衛門の話は徳島藩邸内で女が浚われたということとは全く別な話で、こうして二人は、三田通りの越後屋まで引上げて来ました。
八
この頃、また上野の山下へ一軒の変った床屋が出来ました。
変ったといっても店の体裁や職人小僧の類、お客の扱いに別に変ったところはなく、「銀床」という看板、鬢盥、尻敷板、毛受、手水盥の類までべつだん世間並みの床屋と変ったことはない。