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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

「人の名だ」

「ああ、これはヒストリー・オブ・プロスチチューション――」

駒井甚三郎の抜き取って渡す書物は、どれもこれも一学には意外千万であった。意味のわからない標題や、草双紙や、遊女売婦の歴史。兵書、兵学に関するものとては手にだも触れないで、またその次に漁り出したのが、形は洋装になっているが、標題は漢字で、「約翰福音書」――

「あ、それは切支丹の書物でございます」

一学がいうまでもない、これは千八百三十九年(天保十年)新嘉坡で出版された日本語訳の最初の聖書。

二人は書物庫から両手に一ぱいの書物を抱え出して、再び以前の長屋へ戻り、

「一学、今晩はもうおそいから、ここへ泊めてもらおう」

駒井甚三郎は、ついにその夜は一学と枕を並べて寝ることになりました。

「殿様、私はそれを申し上げてよいか悪いかわかりませんが――日頃胸にあることでございますから、お気にさわるまでも、今晩この機会に申し上げてしまいたいと存じます」

一学があらたまっていいますから、駒井が、

「遠慮なくいってみたまえ」

「ほかでもございませんが、どうしてもわからないのは、奥方のお心持でございます」

「うむ、誰の心でも、そうはよくわかるものでない」