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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

どんな人がいつ来るであろう。来たところで、なんでもないはず。それをお吉は、自分で取越し苦労をして、なんだかすっかり、自分がだまされてしまったようにも思われてならない。

「お風呂が沸きました」

いつもならば、二つ返事でよろこんで風呂場へ飛んでくるのに、今日は、

「あ、そうか、まあ後にしよう」

といった神尾の言葉までが、いやによそよそしく、冷淡を極めているように思われ、お吉は、いっそ、ここを逃げ出して、国へ帰ってしまおうかとさえ、その時は思いました。

ぜひなく、お吉は引返して、台所の方へ廻り、夕飯の仕度を働いているうちに、表の方に人声がありましたので、ハッとしましたが、その時、進んで返事をしたのは、珍しく主人の神尾の声でありましたから、お吉が、またも気を揉みました。いつも人が来ても、隠れるようにして応対などをしたことのない人が、今日に限ってあの返事――さてはと思うと、お吉は立つ気にもなりません。ワザと腰を重く構えていると、やや暫くあって、廊下のところで、

「風呂がわいているそうだから、そなた入ったらよかろう」

と神尾の声。

「それは有難うございます。では、御免を蒙りまして……」