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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 頁

青空文庫

「兵馬さん、お帰りになりまして?」

とそこへ訪れたのはお松であります。

「いま帰りました」

「お茶を一つお上りなさいまし」

「有難う」

お松は丁寧に兵馬にお茶をすすめたが、兵馬の浮かぬ面色をそっとながめて、

「どちらへおいでになりました」

「エエ、あの……」

なにげないことでも、お松にたずねられると針の莚にいるような心持がします。

「直ぐにお休みになりますか、それとも何か召し上りますか」

「いいえ、何も要りません……あの、お松どの、そこへ坐って下さい。あなたにはこの頃中、絶えず心配をかけていた上に、少なからぬ借金までしておりました。今日はこれを預かっておいて下さい」

といって、兵馬が改めてお松の前に置いたのは、例の金包です。

「ええ? これを、わたしがお預かりするのですか?」

お松は、その金包をながめて合点がゆかない様子。それは、この頃中の兵馬は、ずいぶん金に飢えているように見えるのに、今ここで突然に投げ出した金は、どう見ても今のこの人の手には余りそうな重味があります。

「預かっておいて下さい」

「お預かり申してよろしうございますが……数をお改め下さいまし」

「数をあらためる必要はありません、そのまま、あなたにお預け申します」