輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あまくさのはる
天草の春
長谷 健
線上閱讀長谷 健《天草の春(あまくさのはる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,293 字 · 15 頁
船賃も安かつたし、船客に手拭のサービスまでしたそうだが、今はそんな話は、ゆめのようなものである)
先着のものから数えて、私は二十五六人目位の位置を占めた。これなら先ず大丈夫だろうと安心していると、そこここで、もうすでにこの土地の人が十数人切符を買つているらしい、と、いい出した。このバスに乗れなければ、七里の徒歩というわけで、人々の不安は去らない。その中、件の女が、つかつかと切符売場の口にいつて、何かごそごそやりだした。如何にも物なれているところ、天草の女のようである。すると、三番目あたりに位置していた男が、並んでいるぞ、並んでいるぞ、と、その女にどなりつけた。女はふり向きもせず、第一番の切符をせしめようと、しきりに切符売に交渉している。三番目の男は、がまんならなくなつたらしく、つと後続の人々をふりかえり、みなさんどうですか。その女のわりこみを許しますかと相談をもちかけた、だめだ、ひつこめ、この心臓女、などの罵声がとび出す。さすがに女もそれには抗しきれなかつたものとみえて、しぶしぶ引さがつていつた。
私は三十六番目の切符を手にいれた。さいごの一枚にあたつていた。