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たいようとかわず

太陽とかわず

小川 未明

線上閱讀小川 未明《太陽とかわず(たいようとかわず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 3,180 字 · 7 頁

青空文庫

」と、かわずはあたりを見まわしました。

それからというものは、かわずは、朝は太陽の上るとともに起き、夕べは、太陽の沈むときまで、ともに水の中をはねまわって、なにやらわからぬことを口やかましくいって、池の中を治めるためにいっしょうけんめいであったのであります。

しかし池の底には、かわずのまだ知らない、いろいろな魚や、また恐ろしい虫などが棲んでいました。独り、水の中ばかりでなく、池の周囲には、森があり、やぶなどがありました。そこには、蚊や、ぶとや、はちや、小鳥などが棲んでいます。それらに対しても、この池の王さまであるかわずは、いちいち気を配らなければなりませんでした。

いままで、あんまりなんにも考えるということをしなかったかわずは、夜もろくろく休むことができなくなりました。たまたまいい月夜で、月の光が池の面を黄色く彩りますと、かわずはびっくりして、不意に起き上がって、もう早、お日さまがお上りになったのかと思い、大騒ぎをして、口やかましく、しゃべりたてることもありました。

春の日の午後のことでありました。

「だいぶん水も暖かになった。旅行にはいい時分である。