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たいようをのむあかいろうせいのひみつ
太陽を呑む赤い老星の秘密
畑中 武夫
線上閱讀畑中 武夫《太陽を呑む赤い老星の秘密(たいようをのむあかいろうせいのひみつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,746 字 · 6 頁
そろそろ夏が来る。
夏の空の星で、ぼくが一番なつかしいのは、さそり座とその主星アンタレスである。
中学初年のころ、「子供の科学」や「科学画報」の星座案内をたよりに、熊野川の川口近くの河原に立ってこの星座をながめた。
アンタレスは赤い星である。アンタレスの名は、「火星の敵」という意味だそうである。赤い星、火星に対抗するほど赤味をおびた、そして明るい星ということであろう。
アンタレスはさそりの心臓である。向って右、つまり西の方に巨大なさそりの爪がある。アンタレスから左下にならぶ星は、ゆるい曲線でSの字の下半分を書いて、いかにもさそりの尾を想わせる。星図をたよりにさそりの星々をたどって、最後にこの尾の曲線を見つけたとき、ぼくはどうやら星の病いにとりつかれてしまったらしい。
アンタレスは南の空であまり高くない。ことにこの星が西へ寄ったときは、かなり地平に近くなって赤い星の光がゆらめく。いかにもあえぎあえぎ西の空に向っているようである。
アンタレス自身はまことに巨大な星である。直径が太陽の二百三十倍もあるというから、もし太陽とアンタレスが入れかわったとしたら、地球の軌道がちょうど呑まれるくらいである。