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うしのうたちょうめんをきおくりょくでかきもどしたひと
失うた帳面を記憶力で書き復した人
南方 熊楠
線上閱讀南方 熊楠《失うた帳面を記憶力で書き復した人(うしのうたちょうめんをきおくりょくでかきもどしたひと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,901 字 · 6 頁
一夕民家火作り、およそあるところの物、文書をあわせてみな燼す。物主競い来たりて、数倍の売償を求む。民もって質験するなし。憂撓出づるところを知らず。その子諸父に謀りていわく、われ聞く、里中葛秀才、天性よく記すと、渠、昨わが家を過り、かつてこの籍を閲す、あるいはよく記憶せん、なんぞ情をもって叩かざるや、と。即日父子葛に詣り、その状をいう。葛笑うていわく、汝が家染肆を張る、かつわれ何に従ってその数を知らんや、と。民拝しかつ泣く。葛また笑うていわく、汝壺酒をもって来たれ、まさによくこれを知るべし、と。民喜んで亟やかに帰り、酒※(「肴+殳」、第4水準2-78-4)を携えて至る。葛飲み畢り、命じて紙筆を取らしめ、ために某月某日某人、某の物若干を染むと疏すること、およそ数百条、書くところの月日姓氏、名色丈尺、毫髪の差なし、民持ち帰り、物主を呼び、読んでもってこれを示すに、みな頭を叩いて駭き伏す」と。この書き振りより推するに、葛君もほとんど『漫志』の筆者と時を同じうした人と思わる。
それより約三百八十余年前、今年よりは千六百十余年前、唐の李肇が書いた『唐国史補』