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おんなのがっこう
女の学校
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《女の学校(おんなのがっこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,812 字 · 6 頁
低い丘のようになった暗い樫の樹かげをぬけ、丘の一番高いところに立って眺めると、一面の罌粟畑で、色様々の大輪の花が太陽の下で燃え立ち咲き乱れていた。それは、女学生になって初めての夏の眺めで、翌年から、そこに新校舎の建築がはじめられた。
女学校の方で使っていた古い校舎のつくりかたも、明治初年の洋風でなかなか風趣があった。退屈きわまる裁縫室の外には、ひろい廊下と木造ながらどっしりしたその廊下の柱列が並んでそういう柱列は、表側の上級生の教室のそとにもあった。日がよく当って、砂利まで日向の香いがするような冬のひる休み時間、五年生たちがその柱列のある廊下の下に多勢かたまって立って、話したり動いたりしていた。今の女学校の上級生の晴れやかな稚さ、青春の門口のたっぷりした長さと思い合わせると、本当に不思議な気もちがする。長袖の紫矢がすりに袴をはき前髪をふくらませた長い下げ髪をたらし、手入れのよい靴をはいた十八九の娘たちは、一目みて育ちのよさがわかるとともに、何とだれもかれも大人っぽく、遊戯なんか思いもかけず、もう人生の重大さを知っているという様子をしていたことだろう。