輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おんなはおなじものがたり

女は同じ物語

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《女は同じ物語(おんなはおなじものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,279 字 · 44 頁

青空文庫

広一郎は「大丈夫です」と云った。ひどく確信のない気のぬけたような調子だった。そして書物のページをはぐり、熱心に読み続けた。竜右衛門ははたはたと団扇を動かし、それからとつぜん、自分の読んでいる書物を取り、表紙を返して、題簽を見た。

「一郎、――」と彼は云った、「おまえはいまなにを読んでいるとかいったな」

「三代聞書です」

「ほう」と竜右衛門は云った、「そんな本が面白いかね」

「ええ、面白いです」

竜右衛門は微笑しながら、「そうかね」と云い、また自分の書物の題簽を見た。そこには「三代聞書全」としるしてある。それは戦乱や凶事を予知する禁厭の法を撰したもので、広一郎のような青年にとって、決して「面白い」筈のものではなかったし、梶家の蔵書ちゅうにも一冊しかないものであった。

「気をつけるがいいぞ、一郎」と竜右衛門は云った、「その娘を好きにならぬようにな、気をつけないと辛き事にあうぞ」

広一郎は黙っていた。

――ばかな心配をする人だ。

一人になってから、広一郎はそう思った。あの娘を、そんな意味で好きになるなんて、おれにできることかどうかわかる筈じゃないか。尤も父さんは懲りているからな、と広一郎は思った。