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にょきゃくいっしゅうかん

女客一週間

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《女客一週間(にょきゃくいっしゅうかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,724 字 · 26 頁

青空文庫

女中にも、誰にも、やたらに窺※(「穴かんむり/兪」、第4水準2-83-17)を許さないのだ。がそこへも、扉の隙から、キミ子のおかっぱが覗きこむ。

「先生……。」

甘ったれた声だ。わりに綺麗だという家のなかに、きたないところを見付けたのだ。仕事があったのだ。手をつけてよいかどうか、女中さんたちにもこればかりは判断が出来ない。お仕事の邪魔はしないから……。というのは、アトリエの次の室、彼女が昨晩とまった室、それがきたない。殊に棚の上や書物の間には、埃がたまっている……。

「静に……そして元通りに、しておくんですよ。」

そんなことは心得てるという、そして嬉しそうな顔だ。実際、ことりとの物音もしない。彼女は、ゆっくりと掃除にかかっているのだった。書物を一冊ずつ引出しては、その埃を払っている。と同時に勉強しているのだ。文学書は埃を払っただけだが、美術に関するものは、洋書だと、一つ一つ※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)絵を眺めてゆき、日本史のものだと、半日でも読み続けている。その方面のことは、まるで知らないらしい。つまらない初歩的解説に読み耽ったり、島村が隙な時には、西洋の名画や通俗画の見さかいなく、持ってきては題名を尋ねる――彼女には西洋文字の知識が皆無なのだ。