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おんなごころのつよければ

女心の強ければ

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《女心の強ければ(おんなごころのつよければ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 47,011 字 · 94 頁

青空文庫

「ためしてみたんです。」

「え、僕を。」

「いいえ、わたしのこと。」

「御自分をためしたんですか。」

「もうためしてしまったから、打ち明けましょうか。」

それがまた、超自然的なことだった。

或る夜、それも深夜、床の間に立てかけてある琴の、十三本の絃が、じゃじゃんと、一度にかき鳴らされた。そしても一度、じゃじゃんと。彼女は眠っていたのだが、事前にふっと眼を覚して、確かにそれを聞いた。あとはしいんとして、ことりとの物音もない。怪しんで起き上り、そこらを見調べたが、琴にも、どこにも、異状はなく、鼠一匹いなかった。

翌日の夜、また同じことが起った。

一種の奇蹟なのだ。奇蹟は、運命の転廻を意味する。それをためしてみたのである。

「あなたを、相手に選んだこと、御免なさい。」

口では御免なさいと言いながら、少しもあやまってる風はなかった。

「そして、ためした結果は、どうなんです。」

「まだ、ためしただけで、あとのことは、待ってるだけですの。」

そうなると、これはもうはたから窺※(「穴かんむり/兪」、第4水準2-83-17)すべからざる事柄だ。

長谷川は最後の反撥を試みた。

「それにしても、あなたはいいましたよ、あまり深く想ってはいけないと。