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ようじゅつ
妖術
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《妖術(ようじゅつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,293 字 · 21 頁
「お待遠だんべいや。」
と、親仁がもっともらしい顔色して、ニヤリともしないで吐くと、女どもは哄と笑って、線香の煙の黒い、吹上げの沫の白い、誰彼れのような中へ、びしょびしょと入って行く。
吃驚して、這奴等、田舎ものの風をする掏賊か、ポン引か、と思った。軽くなった懐中につけても、当節は油断がならぬ。
その時分まで、同じ処にぼんやりと立って待ったのである。
六
早く下りよ、と段はそこに階を明けて斜めに待つ。自分に恥じて、もうその上は待っていられないまでになった。
端へ出るのさえ、後を慕って、紙幣に引摺られるような負惜みの外聞があるので、角の処へも出ないでいた。なぜか、がっかりして、気が抜けて、その横手から下りて、路を廻るのも億劫でならぬので、はじめて、ふらふらと前へ出て、元の本堂前の廻廊を廻って、欄干について、前刻来がけとは勢が、からりとかわって、中折の鍔も深く、面を伏せて、そこを伝う風も、我ながら辿々しかった。
トあの大提灯を、釣鐘が目前へぶら下ったように、ぎょっとして、はっと正面へ魅まれた顔を上げると、右の横手の、広前の、片隅に綺麗に取って、時ならぬ錦木が一本、そこへ植わった風情に、四辺に人もなく一人立って、傘を半開き、真白な横顔を見せて、生際を濃く、美しく目迎えて莞爾した。