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ようじゅつ

妖術

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《妖術(ようじゅつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,293 字 · 21 頁

青空文庫

しかし、さもしいようではあるが、それには廻廊の紙幣がある。

その時、ちと更まるようにして答えたのが、

「私は、手品をいたします。」

近頃はただ活動写真で、小屋でも寄席でも一向入りのない処から、座敷を勤めさして頂く。

「ちょいと嬰児さんにおなり遊ばせ。」

思懸けない、その御礼までに、一つ手前芸を御覧に入れる。

「お笑い遊ばしちゃ、厭ですよ。」と云う。

「これは拝見!」と大袈裟に開き直って、その実は嘘だ、と思った。

すると、軽く膝を支いて、蒲団をずらして、すらりと向うへ、……扉の前。――此方に劣らず杯は重ねたのに、衣の薫も冷りとした。

扇子を抜いて、畳に支いて、頭を下げたが、がっくり、と低頭れたように悄れて見えた。

「世渡りのためとは申しながら……前へ御祝儀を頂いたり、」

と口籠って、

「お恥かしゅう存じます。」と何と思ったか、ほろりとした。その美しさは身に染みて、いまだ夢にも忘れぬ。

いや、そこどころか。

あの、籠の白い花を忘れまい。

すっと抜くと、掌に捧げて出て、そのまま、子窓の障子を開けた。開ける、と中庭一面の池で、また思懸けず、船が一舳、隅田に浮いた鯨のごとく、池の中を切劃って浮く。