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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《婦人と文学(ふじんとぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 頁

青空文庫

にひそめられている可能に対する人類への責任という見方へと、内面の真実を尊ぶ傾向へとに推進したのであった。『白樺』の人道主義は、当時にあって人生に積極なものを求めるあらゆる若い心を捉えたと云って過言ではなかったのである。

ところが、今日顧みれば『白樺』の人々の人間性肯定とヒューマニスティックな意欲は、当時の日本文学に新鮮溌剌な気息を導き入れたにもかかわらず、自己のうちに人類の意志を感じるという場合、それは全く主観に立って云われていたものであったことも見落せない事実である。

芸術家としての本心、実感というものは主観的に「自分としては」という角度から監視を受けたが、その本源的な自分というものの内容が社会的に考えられたとき、どんな生活環境の伝統と習俗と気風とを因子として成り立っている「自分」かという客観的事実については、考えられなかった。従って、『白樺』の人道主義の傾向は、主観的でロマンティックな要素を多分にふくんでいた。人間的欲求の真実に立って生れたことは事実であるが、その半面には、『白樺』の人道主義が、個性の完成を社会条件と照し合わせず、内面的の可能でだけ見るそのことに、明治四十年末から大正初頭にかけての日本の社会が面していた反動の情勢が如何ほど相殺の力で作用していたかという機微をもうかがい得る。