輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《婦系図(おんなけいず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 頁
重しの代りに、女持の金時計が、底澄んで、キラキラ星のように輝いていた。
じろりと視めて、莞爾して、蒲団に乗ると、腰が沈む。天鵝絨の括枕を横へ取って、足を伸して裙にかさねた、黄縞の郡内に、桃色の絹の肩当てした掻巻を引き寄せる、手が辷って、ひやりと軽くかかった裏の羽二重が燃ゆるよう。
トタンに次の書斎で、するすると帯を解く音がしたので、まだ横にならなかった主税は、掻巻の襟に両肱を支いた。
乳母が何か云ったようだったが、それは聞えないで、派手な夫人の声して、
「ああ、このまま寝ようよ。どうせ台なしなんだから。」
と云ったと思うと、隔ての襖の左右より、中ほどがスーと開いたが、こなたの十畳の京間は広し、向うの灯も暗いから、裳はかくれて、乳の下の扱帯が見えた。
「お休みなさい。」
「失礼。」
と云う。襖を閉めて肩を引いた。が、幻の花環一つ、黒髪のありし辺、宙に残って、消えずに俤に立つ。
主税は仰向けに倒れたが、枕はしないで、両手を廻して、しっかと後脳を抱いた。目はハッキリといて、失せやらぬその幻を視めていた。時過ぎる、時過ぎる、その時の過ぎる間に、乳母が長火鉢の処の、洋燈を消したのが知れて、しっこは、しっこは、と小児に云うのが聞えたが、やがて静まって、時過ぎた。