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あんごのしんにほんちり

安吾の新日本地理

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《安吾の新日本地理(あんごのしんにほんちり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,650 字 · 54 頁

青空文庫

「位山は諸木の中でも笏に用いる一位ノ木が多い。麓をまわれば二十余里、宮殿(水無神宮の由)の奥、また府(現高山市)から麓まで七里余」

とある。位山と船山は高山や水無神社から頂上まででも一里半か二里ぐらい。里数が違う。そこで、位山は乗鞍だというのが郷土史家の定説である。むかしは乗鞍を位山と云った。位山が乗鞍を指すのであると多くの史料に見られる位山の記事にピッタリする。その代り、こまったことには船山がない。水無神社の歴史という本には、八所和歌集の記事からだと乗鞍にも当るし現在の位山にも当ると云っている。

しかし乗鞍の麓には船山はないが船津がある。今は神岡町であるが、昔から有名な船つき場で、今の町名の神岡が古い名かどうか知らぬが、船津が同時に神岡なら、これを船山と解して悪くもなかろう。神通川をさかのぼって船津で船をのりすてて乗鞍へ登った。天ツ船は神話では山上へ到着するが、神通川をさかのぼって舟行の限界点として適当な船津でのりすてた。そう俗に、現実的に解して悪くはないであろう。船津の隣り字は石神だの阿曾布だのとこの氏族にふさわしい古い地名が多い。このあたりは昔はスワと云い、今に古スワの地名がある由。