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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
線上閱讀佐藤 垢石《完本 たぬき汁(たぬきじる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 133,158 字 · 273 頁
麻布の十番
それはとにかくとして、僅かな期間にあれだけの工事を仕あげたのであるから、随分多くの人を使い、また沢山の金を費やしたことが想像できる。
いま麻布に十番という地名がある。このところには、二代将軍霊廟造営に際して工事費支払場所を置いた。一番から十番までの勘定方がいたので、この名が残っているのである。技術家や、従業の人々が夕方になるとそこで金を受け取り、近所の飲食店や商店で散財したのであるから、当時麻布一帯は素晴らしく繁華であったであろう。
また徳川初期の清妙芳麗な工芸の神技を発揮しているものに、台徳院本殿内に安置した堂宇と、奥院の宝塔とがある。宝塔は木造で斗以上を極彩色とし、軸部には全面に蝋色地、高蒔絵を施して、これに七宝入りの精巧な透彫金具を打ち、眼もさむるばかりに美しい。歴代の宝塔中、やはりこの二代将軍の宝塔が最も立派であると言われている。
秀忠の夫人崇源院の霊廟は、台徳院の北隣に建っている。崇源院は正保四年三月十七日に、入仏供養が行なわれているが、その規模は台徳院に比べて少し小さいにしても、壮麗華美なことは殆ど台徳院に劣らない。