輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
線上閱讀佐藤 垢石《完本 たぬき汁(たぬきじる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 133,158 字 · 273 頁
濁酒を恋う
遠からず酒の小売値段は、いままでの倍額となるらしい。つまり、一升三円であったものが六円ということになるのだろう。
だから、晩酌を二合ずつやった者は、一合にへらさなければ勘定が合わなくなる。私など、それで辛抱するよりほかに致し方がないと観念している。
ところが、私の友人にそんな簡単にあきらめられるものではない、と言うのがいる。自分は酒を飲むのが楽しみで毎日仕事をしているようなものだ。だのに、その酒を次第々々に減らさなければならないとあっては、仕事がやれなくなる。仕事がやれなければ、結局餓死するばかりだ。しかし、相場が自然に高くなって行くのに、どこへ苦情の持って行きようもない、と言って毎日しおれているのだ。
そこで友人は、この正月を控えて、四斗樽一本を工面した。まず、大袈裟に言うと酒の買い占めだ。小売値段が急騰しないうちに、という用心である。
そして、この一本飲み終えたのちは、もうどんなに値段が高くなってもかまわない。人生を諦めると大きく構えて落ちつきはじめた。
四斗樽を買い込んだ翌日、――君にもあの音を聞かせてやりたいね、実にたまらんよ。僕のところのお勝手は、手ぜまなものだから、四斗樽を玄関へ据えつけた。