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いえ
家
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《家(いえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,411 字 · 285 頁
八
「芝に居る人はどうなんかネ」と復た三吉が言った。「よくお前が遊びに行くじゃないか」
「あの人も旦那さんが弱くッて……平常つまらない、つまらないッて、愚痴ばかしコボして……」
「何と言っても、女は長生するよ。直樹さんの家を御覧な、老祖母さんが一人残ってる。強い証拠だ。大きな、肥った体躯をした他の内儀さんなぞが、女というものは弱いもんですなんて、そんなことを聞くと俺は可笑しく成っちまう……」
「でも、男の人の方が可羨しい。二度と女なんかに生れて来るもんじゃ有りません」
夕日が輝いて来た。食堂の玻璃窓は一つ一つ深い絵のように見えた。屋外の町々は次第に薄暗い空気の中へ沈んで行った。やがて夫婦はこの食堂を下りた。物憂い生活に逆うような眼付をしながら、三吉は満腹した「妹」を連れて家の方へ帰って行った。
八
駒形から川について厩橋の横を通り、あれから狭い裏町を折れ曲って、更に蔵前の通りへ出、長い並木路を三吉叔父の家まで、正太は非常に静かに歩いた。
叔父は旅から帰って来た頃であった。正太は入口の庭のところに立って声を掛けた。
「叔父さん、御暇でしたら、すこし其辺を御歩きに成りませんか」