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ずいひつ よせばやし

寄席囃子 正岡容寄席随筆集

正岡 容

線上閱讀正岡 容《寄席囃子 正岡容寄席随筆集(ずいひつ よせばやし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,259 字 · 222 頁

青空文庫

お墓へ行った。お墓といってもほんとうのお墓は築地の門跡様の寺中にあったのだから、もう無縁で恐らく跡形もなくなっているだろう、三代目小さん・今輔・馬生・文楽・左楽・つばめ・志ん生・燕枝の柳派の人たちで建立した座像のお地蔵様ばかりがここに残っている。その建立した人たちも今ではみな死んでしまって、今日も来てくれている柳亭左楽がわずかに達者でいるばかりである。緋桃が、連翹が、子が、金盞花が、モヤモヤとした香煙の中に、早春らしく綻びて微笑っていた。また文弥君が、最前の短歌を繰り返し繰り返し、朗詠しだした。

そのあと、近くの明月園で心ばかりの午餐を食べてもらった。寄せ書きをして、吉井先生、久保田さんへ送った。

席上、貞山がこんな話をした。

年の暮れ、この頃山の宿にいた馬楽のところへ行ったら「加藤清正蔚山に籠る」と書いてくれと言う。よしよしとそう書いてやったら、その次へ「谷干城熊本城へ籠る」と書いてくれと言う。また書いてやったら、今度はそのあとへ「本間弥太郎当家の二階へ籠る」と自分で書き、堂々と玄関へ貼り出した。そうしてそれを大家に見せて談じ込み(いったいどんな談じ方をしたのだろう!)とうとう家賃を負けさせてしまった、と。