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ずいひつ よせばやし
寄席囃子 正岡容寄席随筆集
正岡 容
線上閱讀正岡 容《寄席囃子 正岡容寄席随筆集(ずいひつ よせばやし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,259 字 · 222 頁
の夜らしい耶蘇の太鼓が耳につく……。
これが、思い出の第二。
もう、文展のはじまる時分、曇った秋の午後三時を、上野の鈴本で聴いた圓蔵の噺も忘れられない。
品川の圓蔵と称えられる、先々代の圓蔵である。
故人芥川龍之介は、この人を讃えて、「からだじゅうが舌になったかと思われる」と叙したが、まことや、故圓蔵の、ピリオッドのない散文詩集をよむような、黄色い美酒の酔いごこちは、いま想っても、すばらしい。
明治、大正の噺家で、いくたり、あれだけの飄逸があろう?
この日は昼席の有名会で、我が圓蔵はたしか「八笑人」をやった。
喋っているうち、だんだん秋の曇り日が暗くなりだして(その頃、鈴本は、今のところの向こう側にあって、二階と三階とを寄席にあてているこしらえだったが)白い障子が時雨れてきた。
圓蔵の顔がしばらく、暗く、うすらかなしく、その中から、「八笑人」の、あの仇討のひとくさりの「ヤーめずらしや何の某……」。あすこのくだりばかりが、急速なテンポをもって、しきりと我らの胸に訴えられてきた。
広小路に早い灯花がちらほら点いて、かさこそと桜落葉が鳴り、東叡山の鐘が鳴ったが、立つ客とてはひとりもなかった。