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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第一巻(どんぐり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 頁
なんというオリジナリティのない不健全な出版界だろう。
階下の日本書や文房具の部は、たいていもうくたびれてしまって、見ないですます事が多い。それにこのほうは、むしろ神田あたりで別な日に見るほうがいいという気がするので、すぐに表の通りへ出てしまう。そして大通りの風に吹かれると、別の世界に出たような心持ちになってほっとするのが通例である。
丸善を出てから銀座のほうへぶらぶら歩いて行く事もあるが、また時々三越へ行く事がある。
白木屋のへんから日本橋を渡って行く間によく広重の「江戸百景」を思い出す。あの絵で見ると白木屋の隣に東橋庵という蕎麦屋がある。今は白木屋の階上で蕎麦が食われる。こんなつまらない事を考えたりする。「駿河町」の絵を見ると、正面に大きな富士がそびえて、前景の両側には丸に井桁に三の字を染め出した越後屋ののれんが紫色に刷られてある。絵に記録された昔の往来の人の風俗も、われわれの目には珍しくおもしろい、中でも著しく自分の目につくのは平和な町の中を両刀をさして歩いている武士の姿である。
富士山の見える日本橋に「魚河岸」があって、その南と北に「丸善」