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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第一巻(どんぐり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 頁
浦和の停車場からすぐに町はずれへ出て甘藷や里芋やいろいろの畑の中をぶらぶら歩いた。とある雑木林の出っ鼻の落ち葉の上に風呂敷をしいてすわり込んで向かいの丘を写し始めた。平生はただ美しいとばかりで不注意に見過ごしている秋の森の複雑な色の諧調は全く臆病な素人絵かきを途方にくれさせる。まだ目の鋭くないわれわれ初学者にとってはおそらくこれほどいい材料はあるまい。しかし黒人になればたぶんただ一面のちゃぶ台、一握りの卓布の面の上にでもやはりこれだけの色彩の錯綜が認められるのであろう。それほどになるのも考えものであるとも思うが、しかしたとえ楽しみ事にしろやっぱりそこまで行かなければつまらないとも思う。
畑に栽培されている植物の色が一切れごとにそれぞれ一つも同じものはない。打ち返されて露出している土でも乾燥の程度や遠近の差でみんなそれぞれに違った色のニュアンスがある。それらのかなりに不規則な平面的分布が、透視法という原理に統一されて、そこに美しい幾何学的の整合を示している。これらの色を一つ取りかえても、線を一つ引き違えても、もうだめだという気がする。
十歳ぐらいの男の子が二人来て後ろのほうで見ていた。